ただの個人的な妄想です。
素人なりにPFPについて少しだけ考えてみました。
先日テレンス・クロフォードの試合がありました。
その後にyahoo!ニュースからこんな記事が…
「井上尚弥のPFP3位は妥当なのか?」という漠然としたものですが、ボクシングファンにとっても気になるような気にならないような…?
そこで、個人的に考えたPFPランキングについて素人なりに述べていこうかなと。
そもそもPFPって何よ?
知ってる人ならここは飛ばしてもok。
異なる階級の選手を比較、対比する方法を指し示すものとして1950年代初期に『リング』誌の初代編集長ナット・フライシャーによって造られた用語であり、その後、階級や王座認定団体、王座そのものが増えると、単に選手の優れた才能や能力を説明するために用いられるようになった。
仮に体重差がなかった場合に最強と目されるチャンピオンに与えられる称号、もしくはそのような選手を考える思考法を指し、PFPまたはP4Pと略される。
(Wikipediaより引用)
要するに、ボクシングだと階級が17もありますが、身長差や体重差をなるべく失くした場合「全階級通じて誰が一番ボクシング技術が優れているのか」といった指標みたいなものですね。
「身長差や体重差をなるべく失くした場合」というのは通常ではありえない事であり、この時点で机上の空論にしか思えないのですが、「俺たちが考えた強いボクサーランキングはこうだ!」と強く主張するボクシング関係者達の推測を眺めるのも結構面白いです。
結果としてPFPランキングは「現在誰が注目されているのか」という事でも分かりやすい指標でもあるんですよね。
で、このPFPランキングの選定基準は結構曖昧で漠然としたものですが、傾向としては傑出度の高い選手が選ばれるのかと。
例えば、王者として15回ぐらい防衛している選手とか、3~5階級ぐらい制覇している選手とか…と、色々ありますね。
ただ、傑出度を重点に置いて選定されている事もあってなのか、ヘビー級出身の選手は中々ランクインしにくい傾向もあります。
ヘビー級より上の階級はありませんし、基本的にデカい奴が勝つのがこの階級の鉄則ですからねぇ…
昔のヘビー級のように「180cmの小男が2mの大男達をバッサバッサぶっ倒すからマイク・タイソンがPFPno.1!」というのはめちゃくちゃ分かりやすいのですが、今のヘビー級にはそのような選手はいないですね…
個人的に考えるPFPランキング2019
写真はリングマガジンの公式サイトから引用させて頂きます。
3位 井上尚弥
(大分前の写真だなぁ…w)
<主な戦績>
今では日本の至宝でおなじみの"Monster"こと井上。
プロデビュー当時はライトフライ級。
ライトフライ級でタイトルを獲った後、後にスーパーフライ級に転向し2階級制覇を果たす。
プロ・アマ通じて20年以上150戦超のキャリアで一度もダウンを喫した事がない名選手オマール・ナルバエスから4度ダウンを奪いわずか2RでKOするなど快進撃が続く。
そしてバンタム級に転向した日本の怪物は、WBA世界バンタム級王座6度防衛していたジェイミー・マクドネルを1Rで瞬殺し3階級制覇達成する。
更にWBSSに参加したモンスターは、準々決勝で元WBA世界バンタム級スーパー王者ファン・カルロス・パヤノと対戦し、プロではKO負けした事がないパヤノを1R1分10秒で瞬殺。
準決勝では全勝無敗のIBF世界バンタム級王者エマヌエル・ロドリゲスと対戦し、1Rからスピードで圧倒した後、2Rに完璧にアジャストした井上がロドリゲスから3度ダウンを奪い2RTKOで勝利を飾る。
決勝では世界5階級制覇王者ノニト・ドネアと対戦。
2Rにドネアの左フックを受けた井上は瞼をカットした正確な距離感を掴めなくなるという、通常では負けるパターンの多い不利な状態を負うことになったが、井上は冷静に対処しながらドネアにパンチを当てに行く。
10Rにドネアの右の強打を受けてダウン寸前のピンチに陥るが、11Rには井上がドネアからボディでダウンを奪う。
プロではこれ以上のない悪戦苦闘であったが井上はドネアを判定で下し、バンタム級WBSSトーナメントの優勝を見事果たしたのである。
<3位に選んだ理由>
正直3位はサウル・アルバレスにしようか井上にしようかと迷いましたが、最終的にはアルバレスを4位にし井上を3位にしました。
アルバレスは戦績と対戦相手の質が凄まじいものですが、ララやジェイコブスにはかなり僅差でギリギリの判定、ゴロフキン戦に関しては1戦目は引き分けた上にアルバレスのドーピングが発覚、2戦目は疑惑の判定で勝つなど、ここ一番という所で白黒はっきりしない試合もありました。
メイウェザーに完敗したのはアルバレスはまだ若かった事もあったし相手が悪すぎたので、まぁ…しょうがない…
このクラスの強豪達に完勝していれば誰も文句は言えないだろうし、とっくのとうにPFP1位になっていたはずです。
対して井上はドネアを除いて相手が誰であろうと圧倒しています。
しかも階級を上げるごとにパワーが増していき、デビュー階級から4階級上のバンタム級では普通では考えられない井上の瞬殺劇場。
ドネアには苦戦しましたが、瞼をカットし正確な距離感が掴めなくても的確にパンチを当てに行きドネアからボディでダウンを奪った事で、個人的には更に井上の評価を高めましたねぇ。
井上がデビューして間もない頃(ライトフライ級時代)は「只の若いチャンピオン、大成はしないだろう」と生意気にも自分はそう決めつけていましたが、オマール・ナルバエスを圧倒したときは手の平クルーして震え上がりましたね。
この頃からコイツはやべぇ選手だと思い始めましたが、今では更にとんでもない怪物になりました。
井上は26歳。まだまだ若く、更に伸びしろがある可能性を残している事にも恐ろしさを感じます。
2位 ワシル・ロマチェンコ
ボクシングファンならロマチェンコという名は脳裏に深く刻まれているでしょう。
<主な戦績>
オリンピック金メダル2連覇、アマチュアの戦績がなんと397戦396勝1敗。
しかも負けた相手にはその後リベンジ成功しております。
アマチュア戦績でここまでの驚異的な記録は聞いたことがありません。
漫画でもボツになるレベルです。
プロ転向後はフェザー級でいきなり世界ランカーと試合をし、4RTKO勝利と圧巻のデビューを果たす。
ロマチェンコはプロ2戦目で世界タイトルマッチに挑戦するという前人未到の記録に踏み込もうとする。
相手はオルランド・サリド、フェザー級では驚異的な存在であり名王者でもある。
しかし、サリドは前日計量で2ポンドの体重超過、更に試合ではローブロー!ローブロー!ローブロー!とサリドのあまりのダーティさにロマチェンコは予想以上に疲れてしまう。
何故レフェリーはサリドのローブローを減点しなかったのかは、今となっても謎である。
サリドのガチャガチャボクシングにロマチェンコは対応が困難、12Rにはサリドをグラつかせチャンスを作るも逃げきられる。
もはやプロとしてのプライドやスポーツマンシップのかけらも感じられないサリドに僅差の判定で敗北するという残念な結果になってしまったのである。
プロでの唯一の敗北はこの試合である。
その後ロマチェンコはゲーリー・ラッセルjrとWBO世界フェザー級王座決定戦をする。
僅差であったがラッセルjrを下し、ロマチェンコはプロ3戦目にして世界王者となったのである。
そのまま勝ち続けたロマチェンコは階級をスーパーフェザー級に上げWBO世界スーパーフェザー級王者ローマン・マルチネスと対戦。
1Rからマルチネスを圧倒し、5Rに失神させてKO勝利するという鮮烈なインパクトを残し、ロマチェンコはプロ7戦目での2階級制覇を達成する。この記録は世界最速である。
その後快進撃は続き、ニコラス・ウォータース、ジェイソン・ソーサ、ミゲル・マリアガといった強豪達がロマチェンコに挑むが、ロマチェンコの異次元的なディフェンスとポジショニングの速さに打つ手がなくなり揃いも揃って試合途中で棄権させられた。
オリンピック金メダル2連覇のギレルモ・リゴンドウと対戦した。
リンゴウドウはアマチュア戦績が243勝4敗(ただしそれぐらいの戦績ではないかと言われているがデータは不明確である)といった超人であり、全盛期ドネアを軽く退けたりでリンゴウドウもまた宇宙人的な何かである。
アマチュアの神様同士…そして宇宙人同士の対決なのでボクシング試合でビッグバンが見れるのではないか!?とファンはこの銀河一戦に期待をかけていたが、結果は序盤からのロマチェンコの猛攻撃に打つ手がなくなり、リンゴウドウは6R終了後にあっさり棄権したのである。(多分ロマチェンコに有効打が全く当たらないので諦めた。)
ロマチェンコはキューバの宇宙人をも棄権させたウクライナの宇宙人である。
リゴンドウ戦後、ロマチェンコはライト級に上げる。
世界3階級制覇者でもありWBA世界ライト級王者でもあるホルヘ・リナレスに挑む。
しかし、6Rのリナレスからプロで初めてダウンを奪われ、リナレスのハンドスピードに対処が遅れるなどプロでは今までにない苦戦を味わった。
それでも何とか踏ん張って立て直せたロマチェンコは10Rにリナレスをボディで仕留め10RTKO勝利したのである。
そして同時にプロ12戦目にして世界最速の3階級制覇王者となったのである。
スーパーフェザー級までの無双感は少し薄れたものの、それでもロマチェンコはWBO世界ライト級王者ホセ・ペドラザ、そしてWBC世界ライト級王座決定戦でルーク・キャンベルを大差判定勝利で下しライト級主要3団体ベルトを獲得したのである。
ライト級で主要4団体制覇まで残るベルトはあと一つ、テオフィモ・ロペスが持つIBFのみ…
<2位に選んだ理由>
飛びぬけたアマチュア戦績を後押ししてロマチェンコがPFPナンバーワンではないかと称える方も多いかと思います。
ただ、自分はちょっとそこだけに違和感があって、アマチュアの実績は一旦切り離してプロでの試合のみから判断すべきなのではないかと考えております。
何故ならPFPの評価はプロの試合での評価であるからです。
ちょっと例として出しますが…
アマチュアのオリンピックで金メダル2連覇したロベイシ・ラミレスが今年プロデビューしましたが、あっさり負けましたね。
ヘビー級の絶対王者と言われていたアンソニー・ジョシュアもアマチュアエリートでオリンピック金メダリストでもありますが、ルイスjrに大番狂わせの敗退もありましたね。
伊藤雅雪は去年クリストファー・ディアスを下しWBO世界スーパーフェザー級の王者になりましたが、ディアスはアマチュア歴が豊富に対し伊藤はアマチュア経験ないんですよね。
…と、プロでの試合は時としてアマチュアで培った戦績はあまり当てにならない事もあります。
…しかし、アマチュアの実績を考慮しないにしてもロマチェンコはPFPのトップ3に入れるべきだとプロの試合からでも感じ取れました。
調べてみると、井上より階級4つ上ですがロマチェンコのリーチは井上より5cmも短いらしいですね。
体格的にはそこまで恵まれていないのにも関わらず、プロデビュー時から階級3つあげたライト級でも盤石さを発揮できるのは流石だなと思いました。
リナレスやキャンベル戦は確かに苦戦しましたが、苦戦したのはこの2人もスペシャルな選手だからですし、それでも大差の判定で勝っています。
このプロでの実績と対戦相手の質を考慮し、自分は井上を抜かしてロマチェンコを2位にしました。
唯一敗北したのはオルランド・サリド戦のみですが、あれはなかった事でいいよ…
意図的に体重超過するわ、反則ブローを連発するわで、最早プロボクサーとは呼べない、ただの若者潰しのズルいおっさんにボクシング的な何かで敗れただけです。
素人目の自分でも分かるサリドのローブローを何でレフェリーは適切に捌かない?
今考えても意味不明すぎる…
この試合まではサリド好きだったんですけどね…この試合以降一気にサリドに興味を失せました。
日本では今ルイス・ネリがボロクソに言われてますが、この時のサリドに比べたらまだかわいいもんっすよ…ネリは試合の内容に関してはまだまともだったので。(もちろんドーピングや体重超過は駄目に決まってるが)
ちょっと話が変わりましたが、ロマチェンコはもう31歳ですか…
33歳で引退するという話もちらほら聞くのですが、う~ん…それぐらいが妥当かもしれませんね。
ライト級で既にいっぱいいっぱいなので更に上の階級は難しいかもしれません。
ライト級を統一した後あえて階級落としてベストなパフォーマンスを披露し続けるのも賢明な判断だと思います。
しかし、個人的にはロマチェンコvsパッキャオみたいなトチ狂ったマッチメイクも見てみたいと思ったりして…
個人的な感覚なんですが今のロマチェンコにはあまりスーパースターの感じがしないっていうか…いや実績は前人未踏レベルですごいんだけど、パッキャオやメイウェザーぐらい華があるかって言われると何かが物足りない…
パッキャオやメイウェザーみたいなレジェンド級の選手は誰が見てもトチ狂った事やってますもんね。
1位 テレンス・クロフォード
出ました。スイッチヒッターの化け物。
主な実績とかはこの前の記事に書いてしまったのでそのまま引用します。
<主な戦績>
- リッキー・バーンズに判定勝利でWBO世界ライト級王座獲得
- ユリオルキス・ガンボアに9RTKO勝利
- トーマス・ドゥローメに6RTKO勝利でWBO世界スーパーライト級王座獲得(2階級制覇)
- ジュリアス・インドンゴに3RTKO勝利でスーパーライト級主要4団体統一王者になる(スーパーライト級王者としては初である)
- ジェフ・ホーンに9RTKO勝利でWBO世界ウェルター級王座獲得(3階級制覇)
- アミール・カーンに6RTKO勝利(ただしカーンはローブローの訴えによる棄権)
- プロアマ通じてダウン経験なしのエギディウス・カバラウスカスに9RTKO勝利
<1位に選んだ理由>
右構えでも左構えでも違和感なく打てる、相手から動きを読まれにくくする独特な動作、相手のクリーンヒットをほとんど貰わない卓越したディフェンス…
と、攻撃防御体力集中力全てにおいて隙が無く弱点らしい弱点が見つかりません。
ウェルター級ではパワーレスなんじゃないかという懸念の声がありましたが、この前のカバラウスカス戦でその疑念は消滅しました。
てかウェルター級に上げてから3戦3連続KOしてる時点でパワーレスの訳がないじゃないですかw
スペンスならクロフォードに勝てるぞ!って思っていたのですが、この前カバラウスカス戦を見て「あれ?スペンスでもやばくね…?」と思い始めたり…
まぁスペンスvsクロフォードは実際やってみないと分かんないぐらい予想が難しいんですけど、序盤のRにクロフォードに見切られたらスペンスでも危ないかなと。
それぐらいクロフォードには対応力があります。
この盤石さがスーパーライト級という難しい階級で主要4団体統一出来た要素でもありますし、五輪経験者やメダリストを簡単に蹴散らしたり階級上げてもトップ戦線相手を倒しきれるのはロマチェンコとは違う所かなと思いました。
この前の試合のインタビューで聞き間違いしたのですが、カバラウスカス戦の3Rはまともには食らってはおらずそれ程ダメージはなかったそうですね。うむむ…
するとプロでは明確に効かされた事はないのかな。個人的には安定感では井上より上だと思います。
あとちょっと関係ないですが試合中に時節見せるクロフォードのムカつく顔。
ヘビー級のタイソン・フューリーも舌ベロベロ出してムカつく顔をしますが、個人的には一周回ってこのムカつく顔が好きです。
不快感より面白さが勝るのでw
しかし、クロフォードも32歳…キース・サーマンより年上だったんかい…
ビッグマッチに中々恵まれないし年齢も年齢なのでちょっと焦っているのか、クロフォードは一つ階級飛ばしてミドル級に上げるのではないかという話もちらほら…
クロフォードなら相手によってはミドル級王者にもなれそうだが、カネロやゴロフキンやチャーロ兄クラスになると流石に…
階級上げてゴロフキンに挑みテクニックや的中率では勝っていたのに、最終的にパワーごり押しでボコボコにされたケル・ブルック2号になりそうな予感が…
…ん?「村田諒太vsクロフォード」…!?
これはこれで気になるな…
PFPについて個人的に思った事
PFPについては色々な見解がありますが、個人的には「全階級通じて誰が一番技術が優れているか」といった議論は深く考えれば考える程野暮なことだと思っています。
前述したように、「身長差や体重差をなるべく失くした場合」というのはまずありえない仮定ですから。
それに相手との相性もあります。
これまでの戦績がパーフェクトだったとしても相手との相性によってはあまり参考にならなくなります。
自分はクロフォードをPFP1位と仮定していますが、ゴロフキンとやれば確実に負けるのではと思っています。
だからと言って、ゴロフキンが全階級の中で一番優れているボクサーとは言い難いです。
ゴロフキンでもなくてもクロフォードが負ける日はいつか来るだろうと思っています。
それはロマチェンコや井上にも同じ事が言えます。
偉大な記録を残せた選手がPFP1位とするならば、現役では間違いなくパッキャオが1位になるでしょう。
パッキャオはもう40代のおじさんでパッキャオに勝てる選手候補がゾロゾロ出てきていますが、それでも現にPFP10位にランクインしています。
その選手の遠い過去の栄光もPFPの選考に絡んでくるのであれば、「結局PFPって何のランキングや?」って振り出しに戻ってしまいます。
なので個人的にはPFPはランキングというより「優れた選手、凄い選手ピックアップ10選」と捉えるべきだと思っています。
順位が劣っていると「この選手はあの選手より劣っているのか」と捉えがちになるので、階級ごとの順位はともかく、PFPにはこのランキング形式はあまり好ましくないんですよね~。
とりあえず言いたかったことは、「PFPトップ10に入る選手は全員すごいぞ!」ということです。
まぁ、当たり前のことですが(笑)
何にしても、PFPトップ10に日本の選手が入る事は喜ばしい事です。